キリン電波製造所

妄想小話を一日一つ書いていました。全てが全て虚構のお話です。

はつゆめ

初夢を見た。
それは一富士二鷹三茄子のどれとも全く関わらない、少し奇妙なだけの夢だった。

六畳の和室の中心には薄っぺらい布団が敷かれており、私はその上にうつぶせになっていた。
何物かにマッサージを施されているらしく、背中をぐいぐい押される感触だけがある。

窓辺には二人の男が座っており、一方は煙草を呑み、一方は扇を拡げて煽っていた。
「その男はね、目が見えないのです」
扇を持った男が言った。
その視線の先はどうやら私の背を押している人間に向けられているらしい。
そういえば昔は目の見えない人が按摩をやったり琵琶をかき鳴らしたりしていたのだっけ。
「けれど、それが一体何だと言うのですか?」
「これはとても重要なことですよ。良く覚えていて下さい」
強く念を押されて、私は目を覚ました。


そういう夢を見た話をあなたにしたらば
「四扇五煙草六座頭だね。なかなか良い一年になるんじゃないかな」
と教えてくれた。
そんなメジャーでない縁起の良い初夢シリーズが私の夢に出てくるなんて。